AI時代における弁理士の未来は??

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  • 作成日:2018年06月14日
  • 更新日:2018年06月14日

AI時代における弁理士の未来はどうなるのでしょうか??


AIは人間の仕事の大部分を将来代替できる可能性が高い、という英オックスフォード大学のマイケル A オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究による研究論文が、多くの人々に衝撃を与えました。確かに、無限ともいえるデータから必要な情報を検索し、過去に作成された特許明細書から特許申請に必要な資料を速やかに解析できることは、AIの最大の強みかもしれません。
弁理士をはじめ、士業の業務の大部分を費やすデータ収集の業務をAIが代替することは、知的生産性を求められる士業にとっての脅威となる可能性が十分に考えられるでしょう。


1、AIに代替される可能性がある弁理士業務は?

野村総合研究所研究所の発表した研究成果によれば10年〜20年後、日本の労働人口の約49%は人工知能による代替が可能となる、といわれています。弁理士業務においても、特許明細書の作成業務は、過去の公開データを基に機械的に作成することも可能になると言われています。
また、特許庁が2016年3月に「AIを活用した特許行政事務の高度化・効率化実証的研究事業」について多額の予算を獲得し、弁理士業務は将来AIによって失われるのではないかという悲観的な声も少なからず聞かれました。
特許明細書の作成には膨大な資料を参考にし、求める内容に即して書き直すといったことも多くあります。蓄積されたデータを参考にし、適切な特許明細書に書き替える作業は、まさにAIの得意とする作業かもしれません。実際に、自動明細書作成ソフトを活用すれば専門家ではなくても特許の申請書類を作成が可能となるかもしれません。例えば、GoogleやMicrosoft等の企業からオープンソースで自動明細書作成ソフトがリリースされ、中小企業や個人が手軽に特許明細書を作成できる可能性も十分にあります。そうなれば、弁理士への依頼が激減することも起こり得ます。特許明細書の作成では、過去に申請された特許を確認し、さらにその応用例までも想定して技術を表現する「伝わる特許明細書」を作成する弁理士ならではのスキルも、AIによって構築可能となるかもしれません。


2、AIに代替されにくい弁理士業務は?

AIに代替されにくい弁理士業務として、特許請求の範囲の作成が挙げられます。抽象的な表現を認識し数値化する必要があるため、今すぐにはAIによる代替は難しいといえるでしょう。いずれ可能にはなる可能性はありますが、弁理士のエンジニアからの聞き取りによる技術表現等は、AIによる代替はまだ起きにくいと考えられます。
ただし、将来、特許明細書の自動作成ソフトが導入されれば、弁理士業務のうち多くの作業が軽減される可能性があります。そのため、特許明細書の作成に限るのであれば、仕事は単純に激減するかもしれません。


3、AI時代に生き残っていく弁理士は?

弁理士は、国内外における特許紛争の解決に加え、知財の啓発活動も求められます。世界での特許出願数を鑑みても、弁理士はIoTや自動運転など秒単位で激しい開発競争への対応を担う重要な存在です。
その中で、出願業務に依存するのではなく、AI の技術を活用した知的財産権の活用や運用業務を新たに創出することが大事になっていくでしょう。また、事業開発や企業の連携、M&A、知財のコンサルティング等の周辺業務へ幅を広げることも必要になるかもしれません。さらに、AIを理解し活用できれば、むしろ弁理士はより高付加価値な業務に注力し、顧客満足度を高められるでしょう。


まとめ

弁理士の業務はAIによってとってかわられてしまう、というよりはむしろ、AIの登場により、さらに企業の資産である知財の保護、拡大に対する期待が高まるでしょう。士業間連携やツールとしてAIを活用し、専門業務に注力することで、「攻めの弁理士」として新たな成功を実現できるかもしれません。
データを最大限に有効活用するためには、AIについて多少なりとも知識が必要ですが、知財の管理は大企業のみならず中小企業にとっても喫緊の課題と言えます。だからこそ、弁理士はAIを活用して業務の効率化を進め、知財の番人として個人から企業まで幅広く取り組むことが求められてくるでしょう。

株式会社SAMURISE

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代表取締役・公認会計士 白井佑弥