固定電話についてはスマートフォンや携帯電話、FAXについては電子メールと、今の時代にはそれぞれの代替手段となり得る技術が実用化されています。
それでもなお、士業の事務所においては、電話とFAXを導入するメリットは存在します。
具体的に、電話を導入するメリットは、携帯番号以外の電話番号を持つことで、事務所としての信頼感が増すことができます。目に見えず、短期的に効果が出るとは言えませんが、士業にとって信頼感は最も重要な要素の１つであり、想像以上の恩恵をもたらすでしょう。
また、固定電話番号を取得せずに開業することも可能ですが、携帯番号を連絡先としてHPなどに記載した場合、仕事や営業の電話も携帯で受けることになるため、プライバシーの観点から負担になってきます。
FAXは、顧客、同業者、所属協会などが頻繁にFAXを用いる場合に、導入を検討すると便利です。顧客が、未だに業界特有の文化が残っている場合や年齢層が高い場合には、FAXでの連絡手段が必須になってきます。各士業協会への書類提出においてもFAXでの提出が必要な場合も多いといえます。
また、電話番号だけではなく、FAX番号を持つことで、事務所としての信頼感を増すこともできるでしょう。
電話→固定電話 OR IP電話
電話については、一番オーソドックスな方法としては、NTTなどと契約して固定電話を設置する方法があります。
固定電話の番号を取得して使用できるのがメリットですが、固定電話のみを事務所の電話番号にすると、事務スタッフがいない場合は、外出時に機会損失のリスクがあります。留守時に携帯番号に転送してくれる、転送電話のオプションサービスは必須でしょう。
ただし、独立開業直後に、事務スタッフを雇用することは難しく、固定電話との契約はコストがかかります。
そのため、詳しくは後述しますが、スマートフォンで固定電話番号（０３）の発着信が行えるIP電話が便利です。
FAX→固定電話式FAX OR インターネットFAX
FAXについては、固定電話を設置する場合、電話回線を利用する固定電話式のFAXを使用すると、導入の手間がかかりません。
一方、固定電話を使用する予定がなければ、FAXのために電話回線を用意するのは手間もコストもかかります。その場合、詳しくは後述しますが、インターネットFAXを利用すると便利です。
電話については、固定電話ではなく、IP電話をオススメします。
IP電話とは、Internet Protocol 電話の略称で、インターネットの回線を利用した電話サービスです。
IP電話のメリットとしては、携帯電話以外の番号を取得できる、固定電話よりも導入費用や通話料を安く抑えられる、同じ事業者同士の通話は無料になる、などがあります。また、外出時に着信がある場合でもスマートフォンで応答することができます。
デメリットとしては、インターネットの回線を使用するので停電時には使えなくなる、緊急時の119番など発信不可の番号がある、などです。
FAXについては、安く手軽に利用できるインターネットFAXをオススメします。
インターネット回線を利用したサービスで、FAX用の機器がなくても、パソコンやスマホがあればFAXのデータの送受信ができます。
インターネットFAXのメリットは、事務所に機器を設置する必要がない、スマホがあれば出先でもFAXの送受信ができる、などです。
一方、紙媒体でFAXを受け取った場合、データ化するために紙をスキャンしなければならないというデメリットもあります。
士業事務所における、電話とFAXの設置についてご紹介しました。
技術的には、電話とFAXは必ずしも設置する必要はない反面、事務所としての信頼度や利便性の向上というメリットもあります。
独立開業したばかりの士業には、固定電話とFAX機器の導入にはコストがかかるため、コストパフォーマンスに優れたIP電話やインターネットFAXをオススメします。
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代表取締役・公認会計士 白井佑弥
