士業のバトン「荒井 邦彦氏(公認会計士)」

士業のバトン「荒井 邦彦氏(公認会計士)」
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  • 作成日:2018年08月27日
  • 更新日:2018年08月28日

士業のバトン第3弾は、株式会社ストライク代表取締役であり、公認会計士の荒井邦彦氏をご紹介します!

荒井氏は、太田昭和監査法人(現 新日本有限責任監査法人)に勤務した後、1997年7月に株式会社ストライクを設立し、代表取締役を務められている方です。
株式会社ストライクは、日本で初めてM&Aにインターネットを持ち込み、主にM&A仲介業務を提供している企業です。
2016年にマザーズにIPO、2017年に東証一部に市場変更をしています。
では、荒井氏のバックグラウンドや専門分野をはじめ、士業の起業、士業連携についてご紹介してまいります!


・設立のきっかけを教えてください。

もともと学生のころから起業したくて会計士を目指しました。
もちろん、その当時は何を事業とするか、具体的なアイデアがあったわけではありません。
会計士になって監査法人にいて、M&Aが身近に行われ、クライアントがダイナミックに変わる姿を目の当たりにしていました。
そこで、インターネットバブルのピークだったこともあり、インターネットとM&Aを組み合わせたら面白いと考えたんです。
米国は、既にいくつかM&Aの仲介サイトがあったので、これらを参考にして、日本で1番最初にM&Aにインターネットを持ち込みました。
ただ、M&A仲介業務の経験はありませんでしたね。笑


・東証一部に市場変更されましたが、5年後、10年後に目指されているところを教えてください。

ようやくスタートラインに立ったという感覚です。
一番大事なポイントは、お客さんに求められていることをやっていくことだと思っています。
例えば、当社の顧客は約5、6割が事業承継です。経営者は、60代、70代が中心です。
10年後の事業承継期の経営者は、今50代と仮定すると、今の60代の方とは価値観や経験してきた経済環境も違います。
その上、世の中はすごいスピードで変わりますし、この先ニーズも変化していきます。
そのため、ニーズ変化の兆候は数年前から出るので、早いタイミングから手を打つことが大事ですね。
逆に、10年前を振り返ると、当社もリーマンショックで大変でした。

当社は年間約100件のM&A仲介をしていますが、私は日本のM&A市場は約1万件あると推計しています。つまり、まだ日本全体の1%しかできていない。
M&A業界は不動産業界と似ていて、シェアが分散しているのが現状なんです。
もちろん1%でも世の中に貢献しているのですが、10年後には今の10倍、日本のM&Aの10%は当社が関わっている企業にしたいですね。


・今までの大変だったOR失敗エピソードを教えてください。

お客さんに鬼の形相で胸ぐらを掴まれたことあります。笑
M&Aの契約目前で、売り手から条件引上げを依頼され、買い手にお話に行った時の話です。
初めは冷静だったのですが、途中から少し感情的になられてしまい、気が付くと胸ぐらをつかんでいる。
怖かったですけど、その方もM&Aに対して本気だからこそそういう態度になったのでしょうね。もちろん、こちらもクライアントのM&Aを成功に導くために本気です。
最終的には条件をのんでくださって、契約することができ、その後も長いお付き合いをさせて頂きました。
後日談になりますが、取得した会社は順調に成長し、買収した金額の3、4倍で売却されましたね。
とても思い出深いエピソードです。


・M&A業界について

M&A業界は、色んな意味でまだ産業としては成長途上にあると思っています。
例えば、不動産業界であれば宅建士、不動産鑑定がいますが、M&A業界には企業取引士や企業価値算定士やのような士業はありません。また、業界団体もありません。
その分、これから色々なサービスが出てきて、業界の発展が進んでいくと思っています。


・最近のM&Aの伸びをどう捉えていますか?

M&Aが広がっていくことは良いことだと思っています。
例えば、事業承継型M&Aの場合、30年、40年やってきた事業を次の30年、40年に橋渡ししていく。後継者がいない会社は最終的には廃業するかつぶれるしかない。それをM&Aで防いでいるわけですが、「マイナスにならなくて良かった」と言うことです。今の日本の環境においては、社会的な意義はとても大きいと思います。もちろん社会的な意義もある仕事であるし、我々も使命感を持って仕事をしていますが、何かプラスを生み出しているわけではないのです。
そこでさらにもう一歩踏み込んで何か出来ることがないか考え、スタートアップのマーケットにも力を入れています。
日本では未だ開業率が低いのが現状です。
色々な制度ができ、起業はし易くなりましたが、それでも開業率がなかなか上がらない。その一番の原因は、出口論だと思っています。起業して失敗すると当然ペナルティがある、ただ成功してもボーナスがあるかと言うとまだまだ環境が整っていないですよね。
IPOじゃなくても、簡単に気軽にM&Aで売却できる環境が必要だと思っています。
3、4年チャレンジをして他の事業をしたくなったら売却して、その売却資金でまた新しいことをすれば良い。
新しい価値がどんどん創出され、経済的にも良い循環ができます。
当社がM&Aを通じて起業の成功のハードルを下げることで、起業の後押しをしていきたいですね。


・M&A業界におけるテクノロジーの影響は?

当社は、今は採用を増やし、会社規模が大きくなってきています。そのため、これから生産性をもっと高めていかないといけないと思っています。
特に、一番はマッチングのプロセスをテクノロジーで効率化していきたいですね。
一般的なM&Aの流れは、ソーシング、マッチング、エグゼキューションの3つです。
ソーシングはM&A希望企業の探索、マッチングは相手先の選定と条件面等の交渉、エグゼキューションは手続です。やはりマッチングが、一番、時間が読みにくいのです。
ここにテクノロジーを使い、今後、効率化していきたいと考えています。

よくAIで仕事が奪われると言われていますが、M&Aの世界もさまざまなテクノロジーが今後、入ってくると思います。
ただ、M&Aが人が決めることである限り、絶対に我々の仕事はなくならないと思っています。


・採用希望等あれば教えてください。

士業の方は、引き続き採用は強化しています。
当社は弊社の約1割は会計士で、弁護士や弁理士の方もいます。
色々な活躍の場があるので、いつでも興味があればご連絡を頂ければと思います。
詳細はこちらをご覧頂ければと思います。


士業の方へ


・士業(会計士)の未来をどのように見ていますか?(テクノロジーも含む)

よくAIで仕事が奪われると言われていますが、頭脳労働は絶対になくならないと思っています。
産業革命でも肉体労働なくなっていないですよね?もちろん中身は変わりますが、考え方は同じだと思います。
会計士においては、業務の流れは変わるかもしれませんが、仕事はなくならいですし、そんな暗く捉える必要はないと思っています。
自分の気持ちに正直に、直感を大事にして、是非チャレンジして欲しいと思います。


・会計士(士業)の起業について、どのように考えていらっしゃるか教えてください。

会計士のキャリアは、「監査法人」か「独立開業」の2択でしたが、今では大企業からベンチャーまで「組織内会計士」が増えました。
そして、その次が、「起業会計士」だと思っています。
起業し易くなりましたし、会計士だから数字に強い素養はあると思うんですよ。
以前、上場企業の代表取締役 兼 会計士で創業者である方は何人いるか調べたのですが、まだ10名しかいない。かつ、会計に近いところでみんな勝負している。異業種でやっている方は1社くらいしかないと思います。
今後は、会計と全く関係ない事業領域で勝負する会計士が増えてくれば、もっと面白くなると思っています。
どんどんチャレンジして欲しいですね。
ある程度成功して売りたくなったら、私がお手伝いしますから!笑


・なぜ士業の起業は少ないと思いますか?

士業は、経済的安定が与えられているからだと思います。
逆に、リスクを取らないことは専門家の弱みかもしれません。

士業は、逆に、あんまり考えないことが大事だと思います。
「考えるな、感じろ!」つまり、自分の気持ちを一番に考えることが大事!
会計士は知恵が働きすぎちゃうと思うんです。知恵が働き過ぎちゃうことは、必ずしもいいことではない。
自分の気持ちに正直に、直感を大事にしたほうがいいと思います。
会計士だけではなく、士業全般に言えることですが。。。
物事は、良いことも悪いことの両面があります。リーマンショックですら、捉え方によってはチャンスになり得ますよね。
だから、是非、「考えるな、感じろ!」精神でチャレンジしていってください!!


士業連携(紹介、外注、連携等)について


・M&Aサービスにおいて、何士の方と何の案件について連携しましたか?

M&Aは専門家がいないと進められないので、幅広く士業と連携しています。
社内に会計士、税理士が多くいるのですが、頻度が多いのは会計士、税理士です。まず企業の相談窓口となる会計事務所の先生ですね。
複雑なM&Aの場合は、組織再編に強い税理士の方と組むこともあります。
あと、倒産案件や相続関係は、弁護士の方とお仕事をしますね。
そのほか、司法書士、不動産鑑定士まで幅広く連携していますね。
是非、M&Aで連携できる士業の方は、是非、ご連絡をいただきたいと思います。


士業のバトン


・士業の方をご紹介ください!

では、ビジネス・ブレイン税理士事務所の税理士 畑中孝介さんをご紹介させていただきます。
畑中さんとは、お互いに駆け出しのころからの付き合いです。同世代ということもあり、もう10年以上の付き合いになります。数々のM&Aに一緒に携わってきました。プライベートでもよく飲みに行っています。

株式会社SAMURISE

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代表取締役・公認会計士 白井佑弥